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義務化の可能性も
・自民「200年住宅ビジョン」で急浮上
実施は瑕疵保証義務化と同時? つくり手はデータを整理し残す作業を
自民党の住宅土地調査会(福田康夫会長)は5月31日、耐久性が高く数世代にわたって利用できる超長期住宅の普及促進を目指す「200年住宅ビジョン」を策定した。技術的なガイドラインの策定だけでなく、住宅ローンの多様化、税制改正にも踏み込んだ提言を盛り込んでいる。なかでも、長期使用のインフラとして注目されているのが邸別に住宅に関する情報を集めた「家歴書(かれきしょ)」だ。自民党が具体的なビジョンとしてまとめたことで、政策として位置づけられたことになる。
自民党が今後の住宅政策の方向を示す「200年住宅ビジョン」を発表した。数世代にわたって循環利用できる質の高い住宅ストックを形成し、社会資産として継承していくことを最重要課題と位置づけ、12の政策提言を盛り込んだ。これをもとに、周辺の法整備などをまとめて次期通常国会以降に順次提出していく考えだ。12の政策提言[囲み]のなかには「家歴書」の整備が入っている。
イギリスでは義務化
「家歴書」は新築時の設計図書や施工内容だけでなく、リフォーム・メンテナンス時の履歴も蓄積してデータ化する。どんな構造か、どんな設備・仕様か、性能はどれだけか、誰がいつどう手を入れたかー。そうした情報が邸別に整備されれば、家の状態がリアルタイムでわかり、例えば適切で効率のいい点検・交換・改修を行えるなどのメリットが生まれる。何より、建物の価値を客観評価するのに有効だ。
同ビジョンでは、先行的な事例としてイギリスの「ホームインフォメーションパック(HIP)」制度を紹介する。HIPは今年6月にスタートした制度で、住宅取引に際し、売主から買主への情報提供をパッケージとして義務化したもの。具体的には取引概要書や登記証書・地籍図、省エネ性能証書、標準的な検査報告などの作成と提示を義務づけている。このほか、住宅利用状況確認書や住宅検査報告などの提供を推奨。それらパッケージの作成費用は600〜700ポンド(約15万円)で、売主が負担するしくみだ。
日本では、国土交通省が今年から3年間のスケジュールで予算を取り、「家歴書」の整備を検討していく予定でいたが、自民党が具体的な政策ビジョンにあげてきたことで、行動が早まる可能性が出てきた。200年住宅ビジョンでは先導的モデルの例として「既存住宅の流通における家歴書と瑕疵担保保証のセット導入」をあげていることから、先日成立した住宅瑕疵担保責任保険義務化の施行のタイミングで、同時に「家歴書」も実施される可能性が高い。

自民党「200年住宅ビジョン」に掲げられた12の政策提言
| 提言01 | 超長期住宅ガイドラインの策定 |
| 提言02 | 家歴書の整備 |
| 提言03 | 分譲マンションの適切な維持管理のための新たな管理方式・権利設定方式の構築 |
| 提言04 | リフォーム支援体制の整備、長期修繕計画等の策定、リフォームローンの充実 |
| 提言05 | 既存住宅の性能・品質に関する情報提供の充実 |
| 提言06 | 既存住宅の取引に関する情報提供の充実 |
| 提言07 | 住み替え・ニ地域居住の支援体制の整備、住み替えを支援する住宅ローンの枠組み整備 |
| 提言08 | 200年住宅(スケルトン・インフィル住宅)の建設・取得を支援する住宅ローン等の枠組み整備 |
| 提言09 | 200年住宅の資産価値を活用した新たなローン(リバース・モーゲージ、住宅資産活用ローン) が提供される仕組みの構築 |
| 提言10 | 200年住宅に係る税負担の軽減 |
| 提言11 | 200年住宅の実現・普及に向けた先導的モデル事業の実施 |
| 提言12 | 良好なまちなみの形成・維持 |
データを整理して残す
こうした動きに対し、つくり手は現状でどう対応をすればいいかー。産官学共同のプロジェクトで「家歴書」システムの研究・開発プロジェクトをまとめている東京大学生産技術研究所の野城智也教授は、まず「データをきちんと整理して残していく作業がつくり手に必要」と指摘する。
制度設計は、ある特定の「家歴書システム」を使わなくてはならないというものではなく、汎用性の高い共通フォーマットを決め、それにそってデータを作成・提供する手法が現実的。住宅性能評価や住宅瑕疵担保責任保険など、既存の制度を活用して設計図書や施工内容を保存するようなしくみも予想される。任意の住宅性能表示制度は2006年度、実施率がまだ19.9%。しかし「家歴書」は、イギリスのHIPと同じように、義務化される可能性もある。現状では具体的なスケジュールは見えていないが、つくり手がこれまで以上に情報の開示・提供を求められることは間違いない。
信用保証制度が10月から変わる
工務店の資金調達にも影響? 金融機関の融資審査が厳しく
中小企業の4割にあたる176万社(うち3割は建設・不動産会社)が利用している信用保証協会の信用保証制度が今年10月から大きく変わる。ここではその概要と影響を解説する。

信用保証制度とは
信用保証制度は、中小企業が金融機関から事業資金の融資を受ける際に、信用保証協会が保証人となることで、融資を受けやすくする制度。借り手が倒産などで支払い不能になった場合は、信用保証協会が代位弁済を行う。保証承諾額は2006年度で実に13.7兆円。工務店の相当数は利用経験があるはずだ。現在は、信用保証協会が原則融資額を100%保証しており、金融機関としては焦げ付きリスクがない。このため融資審査が甘くなりがちで、その結果、代位弁済は2006年度で6,852億円にのぼっている(政府系の中小公庫の保険を使って代位弁済)。
責任共有制度を導入
この状況を改善するため今年10月から導入されるのが「責任共有制度」だ。簡単に言えば、一部の融資を除き、金融機関に信用リスクの2割相当を負担させるもの。金融機関に融資審査の責任を共有させることで、健全な融資の実行をめざす。新制度の導入により金融機関は10月以降、融資のハードルを引き上げることが予想される。このため、中小企業の資金繰り悪化を心配する声もあがっている。
工務店への影響
実際、経営内容が厳しく担保も用意できない工務店の場合、審査でNGとなる確率が10月以降高まるとみられる。これまでと同じ条件でも借りることができないケースも増えそうだ。その場合は、資金調達先の見直しを迫られることになる。逆に言えば、それでも8割は保証されるということで、まったくの保証ナシ融資よりも金融機関の審査は依然ゆるやかなはず。
また昨年4月から原則、経営者以外の第三者を保証人として求めないことになった。あわせて従来1.35%と一律だった信用保証料率も中小企業の経営状況に応じて0.5%から2.22%と差がつけられている(平均は従来と同じ1.35%)。さらに「中小企業の会計に関する指針」に沿った財務諸表を作成した企業に対しては、保証料を0.1%割り引いている。健全な経営を行っている工務店にとっては制度の変更の影響はそれほどでなく、より使いやすく有利な調達になっているということだ。
工務店の対策
融資基準の引き上げが心配な場合は、制度変更前に融資を申し込んでおく手がある。変更直前の9月は込み合うことも予想されるため、いまから準備したい。また各地の信用保証協会では、零細企業対策として、10月から「小口零細企業保証制度」をスタートする。これは、従業員数が製造業(建設業含む)は20人以下、卸・小売・サービス業は5人以下の会社および個人などを対象とした保証制度で、本融資を含めた保証付き融資残高が1,250万円以下であれば100%保証となる。こちらの利用も検討したい。
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せっこうボード壁倍率を変更
改正建築基準法の施行にあわせて行われた告示の改正で、木造軸組の耐力壁のせっこうボードの壁倍率が一部変更された。せっこうボードは、これまで一律で1.0だったが、JISの規格に合わせて分類を細分化し、それぞれ壁倍率を設定した。具体的にはせっこうボードまたは強化せっこうボード(12mm以上のもの)は0.9に引き下げ。あらたに構造用せっこうボードA種(同)の1.7、構造用せっこうボードB種(同)の1.2を追加した。せっこうボードが1.0から0.9に引き下げられるため、壁量計算などの見直しが必要になる。

「フラット35」2段階に20年未満設定を導入
住宅金融支援機構は、民間金融機関との提携による住宅ローン「フラット35」に返済期間に応じて2段階の融資金利設定を導入する。フラット35は、これまで返済期間にかかわらず一律の融資金利となっていた。今回、20年までと20年超とで、2段階の金利を設定することで住宅ローンの選択の幅を広げ、ユーザーの利便性向上を図る。10月1日以降に資金を受け取る人から制度の対象となる。現在の金利情勢を前提とした場合、返済期間を20年までの年数で選択する場合、20年超の年数で選択するよりも低い水準となる。
設計報酬基準の見直し検討 国土交通省
建て主が理解しやすい内容目指す 工事費ベースから床面積ベースへ
国土交通省は6月末に開いた「業務報酬基準・工事監理小委員会」で、建築設計業務の報酬基準(告示第1206号)の見直しの方向性を示した。同省は、新しい告示のコンセプトとして「建築主が容易に理解できる業務報酬基準体系とする」ことを基本的な考え方において、現状の業務内容にそった明快な内容にする考え。
現行の告示では、建物の用途などによる類型を、第1類(工場など)、第2類(学校・庁舎・事務所・共同住宅など)、第3類(銀行・美術館・ホテル・病院など)、第4類(戸建て住宅)に区分しているが、これを多様化が進む建築の実態を踏まえて細分化。例として6類型に区分し直す場合の建物類型区分と類型の区分の考え方も併記する方針を示した。標準業務人・日数については類型別に工事費ベースで算定していたものを床面積ベースに変更し、さらに標準業務の業務量をイメージできるような建築物のイメージを付記する方針。また、現行の告示に「追加的な業務内容」(住宅局長通達に記載)が含まれていないことが設計変更などの追加的業務が報酬に反映されない原因にもなっているとして、新しい告示には、標準業務内容と追加的な業務内容を一緒に盛り込む方針を示した。

基準法改正にともなう技術的助言
「軽微な不備」は乱丁など5項目
変更確認手続きが不要な場合を例示
6月20日の改正建築基準法の施行にともない、国土交通省は、法令の改正点についての解釈や運用上の留意事項などを技術的助言としてまとめた。 例えば、確認審査などの方法を国が規定した告示「確認審査等に関する指針」で、審査中に申請図書の不整合や法不適合があった場合でも、原則として図書の差し替えや訂正は認められなくなった。ただし「誤記、記載漏れその他これに類するもので、申請者などが記載しようとした事項が容易に推察される程度のもの」と定義された「軽微な不備」については補正が認められていた。
軽微な不備の例
| (1) | 図書の乱丁がある場合 |
| (2) | 正本または副本の一部の図書の落丁がある場合 |
| (3) | 認定書もしくは認証書またはこれらの別添の写しが添付されていない場合 |
| (4) | 添付図書の計算式や計算結果は正しく記載されており、当該結果の数値などを確認申請書に 記載する際に誤記または記載漏れがある場合 |
| (5) | 図書の記載事項の一部に誤りがあるが、当該図書における他の記載事項または
他の図書における 記載事項により、申請者が本来記載しようとした事項が容易に推測される場合 |
技術的助言では、この「軽微な不備」の例を示した。具体的には、[囲み]にまとめた5つ。 逆に言えば、これら以外では補正は認められないと考えたほうが無難。また、施工の関係上やむを得ず発生する可能性の高い変更事項への対応方法があらかじめ検討されている場合や、構造方法などの認定を受けた材料や工法を、認定を受けた他の同一仕様のものに変更する場合ーは、その旨を当初の確認申請図書などに変更内容を盛り込んだかたちで、確認審査や構造計算適合性判定を受けることができるとした。確認済証の交付後、その変更内容の範囲内で施工が行われている限り、計画変更確認の手続きは不要だ。
例えば、施工時に杭基礎に一定の範囲内でずれが生じても構造耐力上支障がないことがあらかじめ確かめられている場合や、この範囲を超えてずれが生じたときに必要な補強方法があらかじめ検討されている場合などがこのケースに該当する。
法改正への対応を模索 国土交通省
「事前審査」や手厚い相談で対応住木センターは解説を作成
改正基準法が6月20日に施行された。特定行政庁や民間の確認検査機関では、対応を模索する状態が続いている。特定行政庁や大手の確認検査機関では、正式な申請受理の前に提出書類などをチェックしたうえで、問題がなければ受理をするといった対応をしているところもある。また、大阪府などのように「事前審査」を制度として設立して混乱を回避するところや、事前の相談を手厚くして対応していくところなどさまざまだ。
(財)日本住宅・木材技術センターは、中小の工務店の混乱を防ぐため、今回の改正のうち、木造軸組工法でつくる住宅の建築確認申請に関係がある事項だけ要約した解説を作成した。「木造軸組工法住宅の改正建築基準法における建築確認申請対応の解説」というタイトルでまとめ、同センターのホームページ(http://www.howtec.or.jp)で公開している。これまでの制度と比較し、変更点を中心に説明。確認の特例が適用される一般的な2階建て以下の木造住宅では、特に提出書類の変更はないことをわかりやすく解説している一方、来年12月以降には特例が見直されるため、早めに新書式での申請ができる体制を整えるべきとの助言も掲載している。
迫る京都議定書の約束期間 増え続けるCO2をどう減らす!?
温暖化防止が待ったなしの状況になっている。
今年は、京都議定書の約束期間2008〜2012年の開始前年だが、CO2などの温室効果ガスの削減はなかなか進まない。先日公表された統計によれば、05年度で基準年(90年)比7.8%増加している。こうしたことから現在、国では京都議定書の目標達成計画の大幅な見直しを進めている。なかでも家庭部門は、増加傾向が著しく、さらなる省エネに向け、取り組みが強化されそうだ。
次世代省エネ基準の普及が生活変化に追いつかない
「目達計画」見直しで対策追加
現在の国の省エネ施策は、05年度に閣議決定された京都議定書目標達成計画にもとづいて実施されている。部分的には進展している項目もあるが、全体的な目標達成はかなり難しい状況だ。実際、目標達成には05年度比で13.8%のCO2削減が必要となる。森林吸収分の3.8%と京都メカニズム(排出量取引など)分1.6%を確保できたとしても、実質的に8.4%削減しなければならない。部門別の削減割合は05年度比で、産業部門(総排出量に占める割合:38%)4.5%、業務その他部門(同13%)30.6%、家庭部門(同10%)21.4%、運輸部門(同17%)2.7%、エネルギー転換部門(同5%)12.1%など、それぞれ大幅な削減が必要。官民あげて目標達成計画の見直しを進めているのはこのためだ。

予測上回る増加
なかでも、住宅業界に関係のある家庭部門のCO2排出量の増加はほかの分野に比べても深刻。基準年(90年)と比べ05年度で36.7%増、04年度と比べても4.0%の増加となっている。現行の計画は基準年比7%程度の増加を想定しているものの、それを大幅に上回るペースだ。削減に向けた対策のメーンは、新築住宅の次世代省エネ基準適合率を08年度までに50%に引き上げること。実際推計値では07年度が44%、08年度で51%と、「目標」は達成される見込みだ。だが、それだけでは、世帯数の伸びや新しい家電の普及による電気使用の増加、ライフスタイルの変化などで増えてしまったCO2排出量を吸収しきれない。そのため、新たな視点での省エネ促進が重要な施策テーマとして浮上してきている。
省エネインセンティブ
具体的な施策のひとつが省エネ改修の促進。新築の省エネ性能の向上に比べ、既存住宅・建築物での省エネ改修はコスト負担が大きくなかなか進まない。この現状を打開するため国は、省エネ改修工事費の一部を税控除することで消費者にインセンティブを与える方向だ。新築の省エネ住宅取得に対しても、固定資産税を軽減する措置を検討している。
さらに、省エネ性能の評価手法を使った流通促進のしくみ構築にも乗り出す。今後、住宅金融支援機構(旧:住宅金融公庫)による、住宅性能表示制度を活用した「フラット35S」の拡充のほか、川崎市(神奈川県)が金融機関と協力して実施しているCASBEE(キャスビー)を使ったマンション取得に対する金利優遇制度のような、環境配慮にインセンティブを結びつける動きが加速するだろう。


消費者から配慮望む声
さまざまな意識調査で、環境に配慮した住宅を希望する消費者の声が高くなっているという結果が出ている。環境はマーケットトレンドのひとつになりつつある。だが、どうすれば環境負荷の低い住宅になるのか、消費者はなかなか知ることができない。国・自治体が主導し、さまざまなラベリング制度などの普及促進を図っているのにはそうした理由がある。つくり手が住み手へのアプローチのひとつとして、環境を切り口にした提案・プレゼン手法を確立すれば、政策上の後押しも期待でき、有効なマーケティングとなりそうだ。















