高齢化社会に必要なマンション修繕・改修とは?

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高齢化社会に必要なマンション修繕・改修とは?

マンション居住者の高齢化がマンションの老朽化に影響するという現象が起きています。一体それはどういうことなのか。大規模修繕工事をはじめとする修繕や改修は、その打開策となりえるのか。高齢化の時代に必要とされるマンションの修繕や改修について考えます。

高齢化社会とマンション

国土交通省が実施した「平成25年度マンション総合調査結果」によると、マンション居住者の状況として、最も多い世帯主の年齢は60歳代で、全体の31.1%を占めています。次いで50歳代が22.8%、さらに40歳代が18.9%と続いており、居住者の高齢化が進んでいます。

また、マンション居住者の永住意識は高まる傾向にあり、同調査において平成25年度では52.4%の区分所有者が、現在住んでいるマンションに「永住するつもりである」と回答しています。マンションに対する永住ニーズが高いということは、そこで暮らす人々の高齢化も進んでいくことになるでしょう。

高齢化によって起こりうる問題

居住者の高齢化が進むと、どのようなことが問題となるのでしょうか。まず挙げられるのは、大規模修繕工事のための修繕積立金の不足です。現実問題として、定年退職などにより 、今までの収入が減少し、毎月支払うべき修繕積立金を負担できない滞納者が増加し、必要な修繕積立金が集まりづらくなるという状況があります。

また、管理組合の維持運営に支障が出ることもあります。管理組合の役員は通常、輪番制などによってマンションの区分所有者等から選出されますが、この役員への就任を断る人が増えています。平成20年度「住宅・土地統計調査」をもとに国土交通省が再集計したデータによると、理由として最も多いのが「高齢のため」となっています。

もうひとつ、深刻な問題と言えるのが、高経年マンションの空き家化です。国土交通省の調べでは、昭和45年以前に建設されたマンションでは「空き家率が10%以上」の住棟が40%を超えています(平成20年度マンション総合調査より)。築年数が増えるごとに建物は劣化していきますが、居住者が減れば管理はますます行き届かなくなり、ごみなどが放置され、空き巣などの犯罪も起きやすくなっていきます。

高齢化社会に向けたマンション修繕に必要な項目

こうした諸問題の解決策としては、高齢化を想定し、マンションの建て替えを行うか、大規模修繕を行うことになります。しかし、建て替えは膨大な費用と 、準備期間や建て替え中の仮住まい期間が長期となり、区分所有者の負担が大きくなる問題があります。現実的には、建物診断を行い、必要に応じた大規模修繕工事を実施することが一般的と考えられます。特に築後30年を超えるマンションは、すでに故障や修理頻度の増大、老朽化を原因とした事故などのトラブルが発生しやすくなっています。できるだけ早急に対策を立て、何らかの修繕などが求められます。

大規模修繕工事を実施する際にポイントとなるのは、バリアフリー対策、または改修と、マンション自体の長寿命化です。バリアフリーはエレベーターの設置(階段しかない場合)にはじまり、共用部分の大きな段差の解消や手すりの設置、スロープの併設などが挙げられます。
一方、マンションの長寿命化は、建物の設備や施設の機能のグレードアップに加えて、セキュリティの強化、耐震改修などが含まれます。

なお、バリアフリー化のためのリフォーム、耐震診断、補強設計、補強工事については、自治体などによる補助金や助成金を利用できるケースがあります。

目指すべきは、現在のマンションを居住者の高齢化に対応したマンションへと再生させることです。高齢化社会を視野に入れ、ポイントを確実に押さえた修繕や改修をプランニングしましょう。

参考文献:
国土交通省「平成25年度マンション総合調査について」
国土交通省「マンションの改修・建替え等について」
国土交通省「マンションの新たな管理方式の検討」

※掲載内容は2017年3月時点の情報です

大規模修繕工事をお考えの方はこちらもご覧ください

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