なぜタワーマンションの大規模修繕は難しいのか?

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
なぜタワーマンションの大規模修繕は難しいのか?

一般的に、タワーマンションの大規模修繕工事は難易度が高いと言われます。その理由はどこにあるのか、実際はどのような工事が行われるのかなど、タワーマンションにおける大規模修繕工事について解説します。

タワーマンションの大規模修繕工事の難易度が高い理由

タワーマンションの大規模修繕工事は難易度が高いと言われるのは、主に次のような理由からです。

工事を行うのが難しい

大規模修繕工事を行うことができるのは、新築時に建物を建設した施工業者(ゼネコン)など一部の施工業者に集中するケースが多いです。まだ、タワーマンションの工事例が少なく、工法やノウハウが確立されていないのがその理由です。特に高層階では、風対策をはじめ 、特殊で高度な作業ノウハウが必要とされるなど、タワーマンションならではの構造上の課題があります。

区分所有者が多く、合意形成が難しい

タワーマンションは戸数規模が大きく、1棟100戸以上、場合によっては1,000戸以上を数えることもあります。そのため、往々にして管理組合による区分所有者の合意形成に困難が伴います。
また、高層階と低層階では区分所有者の世帯収入や価値観にギャップがあることも障害となりやすいです。高層階ほど雨風の影響などで外壁などに損傷を受けやすく、修繕や改修に対する要求の度合いが異なることも問題になりがちです。

工事費が割高になる

タワーマンションの場合、大規模修繕工事の工事費が一般のマンションより高くなる場合があります。そのため、修繕積立金が不足するという事態も起きやすいのです。新築時に建物を建設した施工業者(ゼネコン)の子会社が大規模修繕工事を請け負うケースが多く、一般的に修繕費や改修費が割高になるという側面もあります。
なお、タワーマンションの大規模修繕工事は工期が長期に及び、2~3年かかるということもめずらしくありません。

実際にはどのように工事をするのか

タワーマンションの大規模修繕工事では、足場は通常の組み立て式ではなく、屋上から吊り下げる「ゴンドラ」を使用する場合や、柱を立てて設置する「移動昇降式足場」を使用することが多くなります。風、雨など気象条件によって工事の進捗度が大きく影響を受けるほか、風対策や飛散、落下防止対策も必須となります。

また、デザイン性が高く外観フォルムが独特なタワーマンションは、大規模修繕工事も、それに合わせた複雑なものになります。高層階と中層階、低層階では、足場の種類、工事の方法などを変えなければいけないこともあります。ラウンジや屋上デッキといった共用施設についても別途、改修が必要になる場合があります。独自性をセールスポイントにしたタワーマンションでは、構造、設備、施設に応じて個別に工事を行うことになります。

タワーマンションの竣工時期の推移

タワーマンションを20階以上の超高層マンションと定義すると、その総竣工戸数は平成12年~平成14年までは7,743戸~8,338戸で推移しています。その後、平成15年には一気に14,984戸に上昇し、ピークは平成19年の23,868戸となっています(国土交通省「平成27年度 住宅経済関連データ」不動産経済研究所調べ)。

竣工戸数が目立って増加した時期は、平成15年~平成22年にかけての間です。その後は徐々に落ち着き、平成27年はまた増加に転じています。そのため大規模修繕工事の周期を10~12年と考えると、第一次の大規模修繕工事ブームは平成27年頃からはじまり、今後、平成37年頃まで続くことになると考えられます。

タワーマンションの大規模修繕工事には、上記のような特殊事情が存在します。しかし、建物の寿命を伸ばすには大規模修繕工事を施すことは避けられません。この先、タワーマンションの大規模修繕工事の事例が増えていくことで、工法や工事ノウハウ、管理組合による計画の進め方が慣熟され、効率化していくことも予測されます。専門のコンサルタントによるサポートなども受けながら、しっかりとした準備を行っていきましょう。

参考文献:
国土交通省「マンション管理の現状等について」
国土交通省「平成27年度 住宅経済関連データ 超高層マンション竣工戸数の推移(首都圏)」
マンション大規模修繕研究会『世界で一番やさしいマンション大規模修繕』エクスナレッジ

※掲載内容は2017年3月時点の情報です。

大規模修繕工事をお考えの方はこちらもご覧ください

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お問い合わせ

よくある質問

皆様から多く寄せられる質問をまとめています。
お問い合わせの前にぜひご覧ください。

よくある質問を見る

問い合わせ先一覧

お問い合わせ・ご相談は、電話またはWEBフォームで承っております。
下記の問い合わせ先一覧から、該当する宛先にお問い合わせください。

問い合わせ先一覧を見る

お問い合わせ