マンションで上の階から水漏れ! そんなときの対処法は?

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マンションで起こるトラブルの中で解決に手間取りがちなのが「水漏れ」の問題です。マンションの上階からの水漏れ(漏水含む)被害を受けたときなどは、どのように対処すれば良いのでしょうか。ここでは、水漏れに関するトラブルについて解説します。

目次

マンションの水漏れの原因

マンションの水漏れは、どのような原因で起こるのでしょうか。まず考えられるのは設備の老朽化です。築年数が古いマンションでは、給排水管の腐食や劣化が進むことで、つなぎ目が損傷したり、途中箇所にヒビが入ったりすることがあります。また、それほど老朽化していなくても、地震などで破損が生じるケースも考えられます。もともと配管工事に問題(瑕疵・欠陥)があって、そこに経年劣化などの原因が重なって水漏れが顕在化することもあるでしょう。

こうした設備や部品に起因するトラブル以外には、上階の居住者の過失が原因となる水漏れもあります。お風呂の水を溢れさせた、洗濯機のホースが外れていた、トイレに何かが詰まった…などが挙げられます。また、キッチンの排水口に油を流したことで排水管が詰まるといった、人為的な原因によって発生するケースもあります。

マンションの水漏れ、責任はどこにある?

水漏れの責任の所在を問う場合、次の二つの要素から判断されることが一般的です。
一つ目の要素は、「水漏れの発生場所」です。水漏れした場所が「共用部分」か「専有部分」によって「管理」責任の所在が誰にあるのかは異なります。「共用部分」の場合は管理組合、「専有部分」の場合は区分所有者または居住者に「管理」責任があることになります。(あくまでも基本的な考え方であり、管理規約等で定められた専有部分の配管の考え方の違いや、水漏れの原因や経緯によっては、責任の所在が異なる場合があります。)

ここでいう「共用部分」とは、配管については、給水管は、通常本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管は、配管継手及び立て管が該当します。また場所については、バルコニーや玄関前の廊下、非常階段などが該当します。一方、「専有部分」とは、配管については、共用部分内にある部分以外とされており、住戸メーターから蛇口までの部分や、専有部分床下の配管がこれにあたります。また場所については、キッチンやお風呂、トイレといった水回り設備を含む、室内の生活スペースが専有部分となります。

※補足:実際は「共用部分」と「専有部分」の境界(定義)があいまいなことが多いので、管理規約には、「共用部分」と「専有部分」の場所・範囲などの定義について具体的に定めておくことが重要です。

二つ目の要素は、水漏れの原因です。「給排水管工事(例)の瑕疵・欠陥による場合」、「給排水管の老朽化(例)による場合」、「人為的なミスなどによる場合」によって、水漏れを発生させた「原因」(責任)が誰にあるのか、その所在が異なります。

「給排水管工事の瑕疵・欠陥による場合」は、工事を請け負った施工業者または分譲した宅建業者が責任(瑕疵担保責任など)を負うことになります。(工事請負契約などにより定められたアフター保証の内容や期間によっては保証してもらえない場合があります。)「給排水管の老朽化による場合」は、水漏れの発生場所が「専有部分」であれば、水漏れが起きた住居の区分所有者が責任(適正に維持管理するべき立場としての責任)を負い、「共用部分」であれば管理組合が責任(適正に維持管理するべき立場としての責任)を負います。「お風呂の水を溢れさせたなど、人為的なミスによる場合」は、ミスを起こした居住者が責任を負います。区分所有者と居住者(賃借人など)が異なる場合は、通常、賃借人に賠償責任があることになります。(前述の内容は参考例です。責任の所在や賠償問題の処理等については、弁護士などの専門家にご相談ください。)

マンションで水漏れが起きたときの対処法

第一に行うべきことは、発生場所と原因の確認と特定です。そのためにも、水漏れの被害を受けた場合は、すみやかに管理会社か管理組合に連絡をしましょう。給排水管に問題がある場合は、管理会社や管理組合を通じて専門業者に調査を依頼し、問題の発生箇所を突き止める必要があります。

また、その際は目視で確認するだけでなく、写真を撮影するなどして、状況を記録しておくことが必要です。その後は、修理業者による応急処置を施し、さらにしっかりとした対策を検討することになります。

損害の補償はどうなるのでしょうか。施工業者が補償をする場合は、水漏れした住居の内装修復・電気製品の故障修理などについては、施工業者が加入する「工事保険(生産物賠償責任保険)」に加入していれば、保険金で対応できる可能性があります。また、水漏れの原因場所の給排水管の修復などについては、大規模修繕工事瑕疵保険(管理組合が発注して行う、給排水管の大規模修繕工事を実施した場合に、施工業者が加入できます。)に施工業者が加入していれば、保険金で対応できる可能性があります。管理組合が補償をする場合は「施設賠償責任保険」などの保険に加入していれば、保険金で対応できる可能性があります。区分所有者や居住者が補償する場合は、その人が「個人賠償責任保険」などに加入していれば保険金で対応できる可能性があります。(個人に任せず、管理組合が同保険にまとめて加入しているケースが増えています。その場合は、管理組合が加入している同保険で補償ができることになります。)
このように、被害者に対して損害の補償をするための保険は、責任の所在によって異なります。管理組合は、今一度、管理組合が加入するべき保険の加入状況を確認しておくことが大切です。また、施工業者が加入する保険の確認もしておくことをお薦めします。

このように、水漏れが発生した場合の対処法を知っておくことは大切です。また、それと同じく大切なことは、区分所有者、管理組合、施工業者などが保険加入して、水漏れの被害者などに対して、損害の補償や補修などの対応ができるようにしておくことです。(保険に関する詳細に関しては各種保険会社や専門家にご相談ください。)

参考文献:
特定非営利活動法人日本住宅管理組合協議会「マンション管理におけるトラブル例と対応」
公益財団法人マンション管理センター「よくある相談Q&A 共用部分と専有部分(漏水)」
公益財団法人マンション管理センター「よくある相談Q&A 共用部分と専有部分の境界は」
一般社団法人 千葉マンション管理士会「マンション管理Q&A 水漏れ事故による賠償責任は誰にあるの?」

※掲載内容は2017年3月時点の情報です。

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