大規模修繕工事の費用はどれくらい? 確保したい修繕積立金の金額は?

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大規模修繕工事には、どれくらい費用がかかるものなのでしょうか。そして、大規模修繕工事の費用をまかなうための修繕積立金は、どの程度の額を確保すべきなのでしょうか。ここでは、それぞれの目安となる金額についてまとめました。

目次

大規模修繕の費用の目安

東京都都市整備局では、「マンション実態調査結果」を、平成25年3月に発表しています。調査対象は、都内の全ての分譲マンションおよび賃貸マンションです(調査時点は平成23年8月1日です)。

この資料には、大規模修繕工事に関する調査結果が掲載されています。それによると、都内のマンションの大規模修繕工事費用総額として、最も割合が高かった金額ゾーンは1,000万円超~3,000万円で35.0%、次が3,000万円超~5,000万円で22.2%となっています。

また住宅戸数別に、それぞれ大規模修繕工事費用の総額が、一戸あたりいくらになるかも示されています。住宅戸数によって数字は異なるものの、戸数の多少に関わらず最も多い金額ゾーンは、一戸あたり60万円以上~90万円未満となっています。次に90万円以上~120万円未満の住宅が多くなっているので、総じて一戸あたり60~120万円が割合として多いということになるでしょう。

ちなみに、実施した工事の種別は多い順に、外壁修繕(84.8%)、屋上防水・塗装(79.0%)、鉄部の塗り替え(78.2%)、廊下・ベランダの防水(69.4%)…などとなっています。

修繕積立金の目安

これに対して、修繕積立金はどうでしょうか。国土交通省が平成23年4月にまとめた「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によれば、専有床面積あたりの修繕積立金の額の目安は、15階未満の建物でひと月あたり178~218円/㎡、20階以上の建物では206円/㎡と記載されています。仮に200円/㎡を目安とすると、専有床面積が70㎡の住戸なら月に1万4,000円程度を支払うことになります。

ただし、これはあくまでも目安です。実際の修繕積立金は、マンションごとにそれぞれの管理組合が作成した、長期修繕計画に即して設定する必要があります。

修繕費用が特に多くかかる項目

大規模修繕の費用の中には、特に多額な費用がかかるケースが存在します。たとえば、外観が複雑な形状をしているマンション、超高層マンションの外壁などの修繕では、建物の周囲に設置する仮設足場やゴンドラの設置費用が高くなり、施工期間も長くなって修繕工事費がかさむ傾向があります。

また、近年の新築マンションではラウンジ、セキュリティ設備など生活利便性や防犯性を考慮した付加設備が多く設置されるようになっており、こうした設備を備えたマンションでは、それだけ修繕工事費が増加することになるかもしれません。

そして、マンションの修繕の中で費用がかかるものとして挙げられるのが、機械式駐車場です。上述した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」でも、修繕積立金の額の目安に関する記述のうち、「機械式駐車場がある場合の加算額」は別項を設けて説明されています。機械式駐車場は特にメンテナンス費が高額で、マンションによっては修繕のタイミングで撤去を検討するケースもあるようです。

大規模修繕工事の費用、そして修繕積立金の額は、上記を参考にしながらそれぞれの長期修繕計画の内容に沿った額を算出し、適切で余裕のある資金計画を立ててください。

参考文献:
東京都都市整備局「マンション実態調査(平成25年度)」
国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」

※掲載内容は2017年1月時点の情報です。

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