大規模修繕工事の前に! 「建物診断」で安全性を確認しよう

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大規模修繕工事の前には、建物診断を行うのが通例です。この建物診断とは具体的にどのようなことを行うものなのでしょうか? ここでは、マンションの安全性の確保のために知っておきたいポイントをまとめます。

目次

建物診断とは

建物診断は、建物各部の異常や変化をチェックし、劣化状況を把握するものです。調査診断、劣化診断などと呼ばれることもあり、日常的な点検業務とは別に、一定の期間をおいて定期的に行われるものを指すのが一般的です。

なかでも、大規模修繕工事の前に行う建物診断は通例化されています。その目的は、建物の修繕および改修の必要性を検討するための資料を作成することにあります。

建物診断の項目

建物診断の項目(調査方法)には、次のようなものがあります。

目視調査

外壁、屋上防水、バルコニー、共用廊下、建具類、鉄具、アルミサッシ、手すりなどの劣化の度合いや進行状態を検査、確認するものです。目視といっても目で確認するだけでなく、触診、打診棒による打診なども含みます。チェック項目はコンクリート、タイルなどのひび割れ、浮き、剥落、汚れ、腐食、鉄部のサビの発生など多岐にわたります。

図面などの調査

竣工図面や修繕履歴などの資料をもとに行う調査です。予備調査と呼ばれることもあります。建物の特徴、使用材料、不具合の傾向などを把握することが目的で、いわば建物の弱点を知るための基礎知識を得ることを主眼とした調査です。

アンケート調査

マンションの居住者にアンケートで、日常生活の中で気づいた劣化状況などを問うものです。専門家が見逃しがちな不具合などを知るためには、非常に有効な調査方法です。劣化の分布状況、範囲、上下左右の関連性などを把握することもできます。

物理調査

外壁、タイル、コンクリート、シーリング部、防水材などに発生する劣化を知るため、一部を簡易破壊して調べるのが物理調査です。たとえば、調べたい部分に小さな穴を開けて溶剤を塗布して反応を調べる方法や、タイルなどにアタッチメントを装着して引っ張ることで粘着力を調べる方法などがあります。

耐震診断でさらなる安全性を確認

耐震診断とは、建物の構造図や構造計算書などと現地調査に基づいて耐震性能を求め、耐震性の有無を判定することです。具体的な診断方法は、簡易的な第一次診断から高度な精密診断である第三次診断まであり、建物の構造形式や現地調査をもとに構造設計者の判断で診断次数を決めることになります。

特に、1981年5月31日以前の旧耐震基準で設計、建築された建物は耐震診断を行うことが望ましいとされています。旧耐震の建物の中でも、1971年の建築基準法施行令改正以前に建設された建物では、さらにその必要性が高くなります。

マンションにおける、こうした耐震診断は、大規模修繕工事前の建物診断と同時に行えば、個別に行う場合と比べて調査期間と費用を低減できる可能性があります。

建物診断は、マンションの安全性と快適性の確保のために欠かせないものです。また、正確で精密な調査や診断を行うことで、大規模修繕工事を、より有効性のあるものにすることができます。こうした建物診断の重要性を理解しておきましょう。

参考文献:
公益財団法人マンション管理センター「マンションの「診断」とはどのようなことをするのか?」
マンション・ユニオン保全設協同組合 編著『マンション大規模修繕 設計監理方式の導入 ~コンサルタント選定マニュアル』特定非営利活動法人 日本住宅管理組合協議会
岡廣樹ほか『これだけは知っておきたいマンション大規模修繕Q&A』鹿島出版会

※掲載内容は2017年2月時点の情報です。

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