マンション管理組合の役員を引き受けたら報酬はもらえるの?

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管理組合の理事会を構成する役員がもらえる役員報酬のことをご存知でしょうか。実際には、この報酬はマンションによって、もらえる場合ともらえない場合があります。その違いは何なのか、もらえるケースとはどのようなときなのか、といったことについて説明します。

目次

マンション管理組合における役員報酬の実態

そもそもマンションの管理組合が役員報酬を支払うのは、世間一般ではどの程度ポピュラーなことなのでしょうか。

まず、国土交通省が公表している「マンション標準管理規約」には、「役員は、別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費の支払と報酬を受けることができる」(第37条第2項?←他のコンテンツでの標記と統一含め検討ください。)とあります。管理組合が役員へ報酬を支払うこと自体には何の問題もなく、公に認められているということです。
その実態については、同じく国土交通省の「平成25年度マンション総合調査結果」にデータが記載されています。それによれば、2,322の管理組合のうち、478の組合が役員全員に、29の組合が理事長のみに役員報酬を支払っています。これは割合にすると、20.6%が役員全員に、1.2%が理事長のみに役員報酬を支払っていることになります。

これらからわかるのは、多数派とはいえないものの、実際に役員報酬を支払う管理組合は少なからずあるということです。
また同じ調査で、「報酬は支払っていない」という管理組合の割合は、マンションの完成年次が新しくなるほど高く、総戸数規模が大きくなるほど低くなる傾向にあることも見えてきました。

報酬をもらえるケース

報酬は理事などの役員になれば自動的にもらえるという場合と、理事長になったときのみにもらえるという場合があります。

報酬額も、役員に一律の額を支払われる場合と、そうでない場合とがあります。前出の「平成25年度マンション総合調査結果」によると、各役員一律の場合の報酬平均額は2,600円/月です。一方、役員報酬が役員一律でない場合の報酬平均額は、理事長が9,200円/月、理事が4,400円/月、監事が4,100円/月となっています。

なお、そもそも役員報酬を設定するかどうか、その額をいくらにするかなどは、管理組合の総会で決定します。考えられる手順としては、まず総会の決議に基づいて「役員報酬規定」といったものを制定し、管理規約に記載します。その上で、金額と支払い方法について定期総会などで管理組合の了承を得る決議を行います。あるいは支払い額と支払い方法を決めてしまって、管理規約で明示する方法もあるでしょう。
いずれにしろ、予算が余っているからその中から今月はいくら役員報酬を支払う…といった支払い方はできないので注意してください。

報酬を設定するメリット・デメリット

役員報酬が存在しているのは、役員のなり手が不足していることの裏返しでもあります。役員の選任方法には立候補制と輪番制がありますが、立候補制であれば報酬が立候補するモチベーションのひとつになり、輪番制であれば報酬がねぎらいの意味を持ってきます。実際に役員の業務は幅広く、多くの時間や労力を必要とするので、それに対してインセンティブを設けるのは妥当であると考える人は多いでしょう。

一方で、報酬を設定するデメリットもないわけではありません。区分所有者の中に、報酬を支払っているのだから役員は仕事をして当然という考えを持つ人が出てくる可能性もあります。また、報酬額が高額になればなるほど、役員という立場が利権化する危険性もあります。

最後に、管理組合はただ存在しているだけでは機能しません。誰かが代表となって、管理運営を進めなければなりません。しかし、役員のなり手不足は大きな問題となっています。また、今後のマンション管理の課題は山積しています。耐震化、建て替え、省エネ化、高齢者対応、管理費滞納、住民トラブル、外国人の居住、民泊、空室化…。住民それぞれの生活を守るためにも、今一度、これからの管理に対する意見交換をお薦めします。

役員報酬に対する考え方は人それぞれです。区分所有者であり管理組合構成員の1人でもある立場から、実際に今暮らしているマンションの状況に照らし合わせて、役員に報酬が必要かどうか考えてみてはいかがでしょうか。

参考文献:
国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」
国土交通省「平成25年度マンション総合調査結果 」
国土交通省「平成25年度マンション総合調査結果〔概要編〕」
京都市「京都市情報館 - 役員報酬について」

※掲載内容は2017年2月時点の情報です。

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