両方入らなきゃダメ? 「管理組合」と「自治会」の違いは?

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分譲マンションの区分所有者であれば、誰でも必ずマンションの管理組合に入ることになります。一方、その地域の自治会に参加して活動をしている人もいます。この2つは両方とも入らなければいけないものなのでしょうか。そもそも両者はどう違うのかなど、管理組合と自治会の関係について解説します。

目次

自治会とは

自治会とは、町村内の一定区域に居住する住民たちによる、地縁に基づいて形成される団体のことです。町内会も同じ意味で、平成25年の総務省調べによれば、全国には30万弱の自治会・町内会が存在しています。

マンションの管理組合と自治会の違い

自治会の目的は地域の住民同士の親睦を図り、地域生活の向上をめざすことにあります。他方、マンションの管理組合はどうでしょう。管理組合は区分所有者で構成された団体で、その目的は建物並びにその敷地及び附属施設を維持管理することです。

さらに言えば、自治会は基本的に地域コミュニティから生まれた任意団体です。対して、管理組合はマンションという共有財産を管理する管理団体です。管理組合には業務内容、構成員、入会条件についてもはっきりとした規定があり、区分所有者であれば自動的(強制的)に加入するものです。
自治会への加入や脱退は自由で、参加を強制することはできません。実はそもそも自治会を作ること自体も法的に決められているわけではありません。というわけで、両者は目的も性格もまったく異なる団体です。

「コミュニティ条項」の削除

さて、国土交通省が公表している「マンション標準管理規約」では、2004年の改正時から、いわゆる「コミュニティ条項」が追加されていました。しかし、このコミュニティ条項はその後、2016年度の「マンション標準管理規約」において削除されました。

コミュニティ条項とは何でしょうか。かいつまんで説明するとその骨子は、①居住者間のコミュニティ形成は、日常的トラブルの未然防止、大規模修繕工事等の円滑な実施などに役立つので、管理組合にとって必要な業務であり、②管理組合が居住者間のコミュニティ形成のために実施する催事の開催費用や、管理組合役員が地域の町内会に出席する際に支出する経費など、地域コミュニティにも配慮した管理組合活動にかかるお金は管理費からの支出が認められるというものでした。

ではなぜこの条項を削除したのか、その点について国土交通省は、2016年度「マンション標準管理規約(単棟型)」の「コメント」で解説しています。
こちらも簡単に紹介すると、①管理組合の業務として「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成(に要する費用)」を掲げていたが、これはマンションの管理という管理組合の目的の範囲内で行われることを前提にしたものだった、②しかし、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」との表現には、定義のあいまいさから拡大解釈される懸念がある、③とりわけ自治会費を管理費として一体で徴収し自治会費を払っている事例、自治会的な活動への管理費の支出をめぐる意見対立やトラブルが生じている実態もあったと述べられています。これらが当該条項を削除するに至った経緯というわけです。

管理組合と自治会の関わり方

要は、管理組合と自治会の活動を安易に混同することは望ましくないということです。管理組合がマンション内でコミュニティ形成に関わる活動をすることはあり得ます。
しかし、強制加入である管理組合で行う活動と、自由意思で入る自治会での活動の区別があいまいになると、自治会の催しに参加した費用を管理費でまかなうケースなどが出てくるおそれがあります。自治会の集まりへの参加は義務だと勘違いする居住者も現れるかもしれません。管理組合に支払うべき管理費と同時に自治会費を支払うやり方が確立してしまうのは大いに問題があります。以上から、自治会費は強制的に支払わされるべきものではありませんから、これら課題の整理をする必要があるのです。

管理組合と自治会とは明確な役割分担をすることが重要です。とくに管理費と自治会費とは、異なるものとして峻別しなければなりません。

これらは、マンションに住んで管理組合に入っていれば自治会には加入しなくていいということではありません。マンション居住者でも地域のコミュニティに参加し、住みやすい環境づくりに一役買うことは可能です。ただ、両者の目的や性格の違いをしっかりと把握し、意識しておきましょう。

参考文献:
総務省「自治会・町内会等とは」
公益財団法人マンション管理センター「よくある相談Q&A - 管理組合と自治会の違い」
一般社団法人日本マンション学会「コミュニティの意義に関するマンション学会の多数意見」
国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」
京都市「京都市情報館 - 管理組合と自治会活動」

※掲載内容は2017年5月時点の情報です。

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