管理費の滞納問題! マンション管理組合がとるべき解決手段

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管理費の滞納は、管理組合にとって頭の痛い問題です。しかし、これを適切に解決しなければマンション管理のベースが崩れてしまいます。ここでは管理組合がとるべき滞納問題の解決手段について、解説します。

目次

マンションの管理費滞納が起きる理由

管理費の滞納が起きるのはなぜなのでしょう。まず考えられるのは滞納者が経済的困難に直面しているケースです。個別の事情によって一時的に支払えないという状況であれば期間を置けば解決する可能性がありますが、継続的に支払えない場合は分割払いなど何らかの方策を話し合う必要があるでしょう。お金はあるものの支払いにルーズなため、あるいは、理事会の運営や管理会社の対応に不満があるといったケースもあります。
まずは、滞納者と管理組合が誠実に話し合いをする場を持つことが解決の糸口になるかもしれません。

滞納が起こっている割合については、国土交通省「平成25年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状」というデータが参考になります。「管理費等の滞納戸数割合」というグラフを見ると、平成25年度の「滞納がある管理組合」は37.0%です。41.4%だった平成5年度から比べると、多少の上下動はあるものの減少する傾向にあります。

マンションの管理組合がとるべき解決手段

滞納が生じた場合、管理組合は何らかの方法で解決を図らなければなりません。滞納を放置すれば、管理費を支払っている区分所有者と滞納者の間に不公平が生まれるばかりでなく、管理費収入の不足から、最終的にはマンションの管理水準が落ち、資産価値の下落につながります。

支払いの催告は、まず文書による催告、次に電話による催告、自宅に訪問して面談という順序を経るのが一般的です。それでも支払いがない場合は次のような手段をとることが考えられます。

内容証明郵便

内容証明とはいつ、どんな内容の文書を誰から誰宛に差し出したのかを、郵便局(郵便事業株式会社)が公的に証明するものです。内容証明郵便は法的な手続きを開始する際に、その意思や決定事項を「通知」するために利用します。証拠能力を持つと同時に、相手に心理的圧力を与えることもできます。

支払い督促制度

支払い督促制度は裁判所に支払督促の申し立てを行うと、その内容に基づいて裁判所が滞納者などに金銭の支払いを命ずるという制度です。通常の裁判と違い、簡単な書類審査だけで手続きを行うことができるのがメリットです。送達後4週間経過し、相手方からの異議がなければ確定判決と同様の法的効力を持ちます。ただし、相手方が2週間以内に異議を出せば支払督促は無効となり、その後は通常の裁判に移行します。

強制執行

強制執行とはいわゆる差し押さえのことです。相手方の意思とは関係なく、国家機関が相手方の財産から債権の回収を実行します。滞納者が会社に勤務していれば、給与を差し押さえるのが一般的な方法となります。この強制執行が認められるには、確定判決などの債務名義(請求権の存在、範囲、債権者、債務者を示した公の文書)が必要です。

訴訟

正式な民事訴訟です。弁護士などの専門家に依頼するのが一般的です。

マンションの管理費滞納は5年で時効になる?

管理費あるいは修繕積立金の請求権は5年で時効となります。管理費等が民法169条所定の定期給付債権に当たるとして、時効が成立することが認められました(平成16年4月23日最高裁判決)。5年を過ぎ、相手方が時効の援用(時効が成立したことを主張し相手に伝えること)をすれば、債権は消滅します。

ただし、この時効は裁判上の請求、差し押さえ、債務の承認などによって中断します。時効の中断があると、それまでの時効期間は無効になって、その時から改めて時効の進行がスタートします。
例えば裁判上の請求とは、裁判手続きによる権利の存在を主張する行為で、通常の訴訟がこれに当たります。
一方、内容証明郵便による督促は6カ月間だけ時効成立を遅らせますが、その後、裁判等の手続きに移行しないと時効中断の効力がなくなるので注意が必要です。

管理費の滞納問題に対しては、滞納が発生した後にどのように連絡し、督促業務を行っていくかという流れをマニュアル化しておくことが重要です。また、日頃から区分所有者に対して、なぜ管理費や修繕積立金が必要なのかを周知する活動も行いましょう。

実際に、数か月間継続した滞納が発生した場合は、管理組合だけで解決しようとせず、管理会社や弁護士などの専門家に早期の相談をすることが必要です。

参考文献:
国土交通省 国土交通政策研究所「区分所有建物における管理費・修繕積立金の取扱いについて」
国土交通省「平成25年度マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状」
国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」

※掲載内容は2017年6月時点の情報です。

 

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