はじめての管理組合役員! 「長期修繕計画」作成のための基礎知識

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はじめての管理組合役員! 「長期修繕計画」作成のための基礎知識

分譲マンションの性能や機能、快適な居住環境を維持し、資産価値の向上を図るには、適時適切な修繕工事などを行うことが欠かせません。 そのために、マンションの管理組合が作成するのが長期修繕計画です。ここでは、その長期修繕計画について押さえておくべき基礎知識を説明します。

長期修繕計画とは

長期修繕計画とは、分譲マンションの性能や機能を維持し、経年による劣化を防ぐために、マンションの管理組合が主体となって作成する、長期的な修繕工事計画のことです。費用は、基本的に区分所有者が毎月支払う修繕積立金によってまかなわれ、25~30年程度の期間を想定した修繕周期と概算費用が決められます。

長期修繕計画は一度作成した後も、マンションの部材や設備の老朽化の進み具合によって適宜、内容を改めていく性格のものです。マンション各部の点検や検査、診断を行い、状況に合わせて一定期間(通常5~6年)ごとに計画を見直し、修正していくことが前提とされています。またそれに伴い、修繕積立金の額も変動していきます。

長期修繕計画のガイドライン

国土交通省は、平成20年6月に「長期修繕計画標準様式」、「長期修繕計画作成ガイドライン」を策定しました。

長期修繕計画標準様式は、管理組合が長期修繕計画を作成する際、作成者によって異なっていた様式の規範となる「標準的な様式」です。長期修繕計画作成ガイドラインは、長期修繕計画の作成または見直し、およびそれに基づいた修繕積立金の金額を決める際の基本となる考え方と、長期修繕計画標準様式を使った作成の方法が示されています。

この様式とガイドラインには、ポイントが3つあります。1つ目は、上述したようにこれまで作成者によって異なっていた長期修繕計画の標準的な様式を定めたこと。2つ目は、修繕積立金の不足防止のために、標準的な「推定修繕工事項目」を示したこと。3つ目は修繕積立金の額は「均等積立方式」により算出すること、とした点です。

長期修繕計画を構成する主な内容

国土交通省による資料を参考にすると、長期修繕計画は次のような内容を順次、確認または設定しながら構成していきます。

工事項目

「長期修繕計画標準様式」によれば、既存マンションの場合、工事項目は保管されている設計図書、現状の調査や診断の結果などに基づいて「推定修繕工事項目」として設定することとされています。

例としては、屋根防水、床防水、外壁塗装等、鉄部塗装等、建具・金物等、共用内部、給水設備、排水設備、ガス設備、空調・換気設備などの大項目に分類され、それぞれの部所や設備ごとにさらに具体的な小項目が存在します。

修繕周期

修繕周期は、既存マンションの場合は、マンションの仕様、立地条件、建物および設備の劣化状況などを調査、診断し、その結果に基づいて設定します。工事項目それぞれに目安となる修繕周期も存在しますが、たとえば海に近い場所、幹線道路に面しているマンションなど、環境や条件によって状況が異なるため、実情に即した修繕のサイクルを考えることが重要です。

推定工事費

工事費は「推定修繕工事費」として算定します。推定修繕工事項目の小項目ごとに、「数量計算」は保管している設計図書、数量計算書、修繕等の履歴、現状の調査や診断の結果などを参考に、「建築数量積算基準」などに準拠して算出します(既存マンションの場合)。単価は過去の契約修繕工事の実績、専門工事業者の見積りなどを参考にして設定します。

資金計画

長期修繕計画によって発生する工事費用は、修繕積立金によってまかなわれます。推定修繕工事費の累計額が、修繕積立金の累計額を上回ることがないように計画を立てます。

長期修繕計画の概要は以上のようになっています。国土交通省が公開する「長期修繕計画標準様式」、「長期修繕計画作成ガイドライン」には具体的な内容が記述されていますので、長期修繕計画を作成する際は参考にすることをおすすめします。

参考文献:
国土交通省「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメントについて」
国土交通省「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン及び同コメント」

※掲載内容は2017年1月時点の情報です。

大規模修繕工事をお考えの方はこちらもご覧ください

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