甚大化する自然災害―自社の大切なOB顧客を災害から守るため住宅事業者が取り組むべきこととは

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甚大化する自然災害―自社の大切なOB顧客を災害から守るため住宅事業者が取り組むべきこととは

 2023年度上半期も大雨や突風、台風が頻発し、日本全域で自然災害による甚大なる被害が発生した。自然災害が企業経営に与える影響は極めて大きく、未然に対策を講じ被害を最小限に抑えることが重要になる。その対策等については本紙で何度か取り上げてきた。
 一方で、住宅所有者が取るべき対策、特に住宅事業者がOB顧客に対して取るべき災害対策についてこれまで言及することがなかったため、今回は、OB顧客を守る取組みについて考えたい。

※本記事は「住宅あんしんニュースNo.274(2023年10月25日発行)」の記事に、一部加筆、編集してご紹介しております。

1.自然災害に対するOB顧客との認識共有

 まず初めに考えることは、OB顧客の被害を最小限にとどめる防災、減災についてだ。これらについては、ハザードマップポータルサイト(国土交通省が管理する全国の災害リスク情報や防災に役立つ情報がまとめられたポータルサイト)等が大いに活用できる【図1】。ハザードマップを基に家庭版BCP(Business Continuity Plan事業継続計画の略)やタイムラインを策定していくことで防災、減災に繋げることができる。
 しかし、OB顧客が能動的に取り組むことは想定しづらい。そこで、住宅事業者が現在地やOB顧客の住む地域等からその地点の災害リスクをまとめ、災害時にとるべき行動をイメージさせるなど、OB顧客と自然災害に対する認識共有から始めていくことが被害を最小限にとどめるために必要な取組みとなる。

ハザードマップポータルサイト

こちらもあわせてご覧ください。
■■中古住宅のミカタ「災害に遭いにくい住宅の選び方・備え方は?国土交通省が『ハザードマップ』をリニューアル」■■

2.被害発生後を想定した取組み(3つの柱)

 続いては被害発生後を想定した取組みについてだ。住宅事業者に求められることは迅速かつ適切な再建に向けた取組みである。
 一つ目の柱は、平時におけるOB顧客との連絡手段の整備と有事の際の被害状況把握だ。主な連絡手段としては電話、SNS、メール、現場訪問等が考えられる。日頃からOB顧客と万が一の際の心構えや災害発生時の連絡手段、復旧における課題などについて、定期訪問時や年末年始の挨拶時、イベント集客時に共有しておくことが大切である。
 二つ目の柱は再建資金確保のフォローだ。これは火災保険が重要な後ろ盾になる。
 例えば、2023年7月14日からの大雨により秋田県では2023年10月17日16時時点で、4,000棟を超える床上浸水の被害が明らかになっている。(出典:「秋田県防災ポータルサイト」火災保険では、火災や爆発に限らず台風や水災などの自然災害についても補償されるが、災害による被害の全てが補償されるというものではない。水災の場合は、床上浸水や地盤面より45㎝を超える浸水が対象となるなど支払い基準を知っておくことが重要である。ある損害保険会社の試算では秋田県での大雨による保険金支払額は1棟当たり平均300万円にものぼるという。OB顧客が十分な補償の火災保険に加入しているかを把握し、万が一OB顧客の住宅が災害にあった際には住宅事業者がOB顧客の復旧に携わることで保険会社との交渉や保険金の支払いをスムーズに進めることができ、顧客との関係、絆をより一層深めていくことができる。
 三つ目の柱は再建活動を想定した人的・物的資源の準備だ。災害発生の際は、復旧の問い合わせ、注文が集中する可能性が高い。自社が被災する可能性もある。「想定外」といったことのないよう再建を見据えた人的資源の準備を進めておく必要がある。

3.悪質商法からの防衛

 また、災害は思わぬ混乱を招く。悪徳業者による水災や地震に便乗した悪質商法が多数発生しており、全国の消費者センターに相談が寄せられている。火災保険を利用した詐欺などは年々増えており、各自治体でも注意を呼び掛けている【図2】。
 住宅事業者がOB顧客の災害対策を講じることで、このようなトラブルからOB顧客を守ることもできる。
 自社の大切なOB顧客を守り続けることで地場での信頼度が高まるだけでなく、結果として住宅事業者の工事受注に繋げていくことができる。
 OB顧客のアフターサポートの一環として是非とも進めて欲しい。

災害に便乗した悪質商法に注意!

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