省エネ適合義務化を前に各種制度で進む基準の追加や引上げ(住宅あんしんニュースNo.260より)

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省エネ適合義務化を前に各種制度で進む基準の追加や引上げ(住宅あんしんニュースNo.260より)

 2050年のカーボンニュートラル、脱炭素化社会の実現を目指し、各種住宅制度の基準の追加や引き上げが進む。2025年の省エネ基準適合義務化を前に、より高い性能の住宅が補助や融資、減税といったあらゆる制度で優遇される。各種住宅制度の最新状況をしっかりと把握し、基準を満たす省エネ性能を実現する家づくりに取り組みたい。

1.脱炭素社会の実現を目指して

 国は、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指している。
 そこで、昨年8月には、国土交通省、経済産業省、環境省が連携した「脱炭素社会の実現に向けた住宅・建築物の省エネ対策のあり方検討会」でとりまとめが行われ、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたロードマップが公表された。
 その後、国での検討が進められ、様々な施策が実施されることとなっており、本号では、この省エネ制度の改正について取り上げる。

2.住宅性能表示制度の等級追加

 まず直近では「住宅性能表示制度」において、ロードマップにも記載されている「ZEHレベル以上の多段階の等級を設定」の施策の第1弾として、4月より断熱等性能等級に等級5、一次エネルギー消費量等級に等級6が新設された。
 これまで、住宅性能表示制度における断熱等性能等級は、省エネ基準相当である等級4、一次エネルギー消費量等級は省エネ基準に対して▲10%となる等級5までしか表示することができなかった。そこで、それを上回るZEHレベルの性能を表示できるようにした。
 これにより、ZEHレベルの住宅を証明する手段として、BELS評価書だけではなく住宅性能評価書を選択肢に加えることができる。省エネ性能とあわせて構造等、他の項目についても優れた性能を証明する場合には住宅性能評価書の活用を検討したい。
 10月には同制度における断熱等性能等級について、前述したZEHレベルである等級5をさらに上回る等級6、7が新設される予定だ。
 また、これまで同制度を利用するには、省エネ性能に関して、断熱等性能等級、一次エネルギー消費量等級のいずれか、または両方を表示することが選択できたが、そのような選択肢がなくなり、両方の表示が必須となる。

3.各種認定制度でも進む基準の引上げ

 「長期優良住宅認定制度」では、10月から基準の引上げと追加が予定されている。
 従来、省エネに関する基準は断熱等性能等級4を満たしていればよかったが、改正によりZEHレベルである等級5に引き上げられる。一次エネルギー消費量の基準も追加され、一次エネルギー消費量等級6が求められる。
 これにより、新たに設備も制度の対象となるため、予め設備の仕様や一次エネルギー消費量の計算方法についても確認しておく必要がでてくる。
 また、「低炭素建築物認定制度」や「性能向上計画認定制度」で求められる誘導基準でも基準の引上げが行われ、断熱性能、一次エネルギー消費量、いずれもZEHレベルの省エネ性能が求められる。さらに、低炭素建築物のその他の基準には再生可能エネルギーの導入が追加されるため、注意が必要だ。

4.支援措置においても高い性能を求める動き

 各支援措置でも、省エネ基準適合だけではなく、より高い性能が求められていると言えそうだ。
 既に、交付申請受付が始まっている「こどもみらい住宅支援事業」では省エネ基準を満たしている住宅が対象となるが、ZEH等のより優れた省エネ性能を満たしている住宅については、補助額が上乗せされる。
 また、前月号で紹介した融資制度【フラット35】においても、10月にはZEHに適合する場合、借入金利を引き下げる【フラット35】S(ZEH)が始まる。
 住宅ローン減税では、長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅等、環境性能等に応じて控除対象の借入限度額が上乗せされる。省エネ基準を満たしていない住宅は「その他の住宅」として区分され、2024年以降は原則、住宅ローン減税が受けられない(※)。

※2023年12月31日までに建築確認を受ける住宅等は、住宅ローン減税の適用あり。

5.選ばれる住宅事業者になるための条件

 今後、省エネ基準適合義務化を前に、補助制度、融資制度、減税制度といったあらゆる制度で省エネ基準を上回る性能の住宅が優遇される。
 取組みが遅れることは住宅事業者にとって受注を大きく左右することになる。数ある住宅事業者の中から「選ばれる住宅事業者」になるためには、より高い省エネ性能を確保することが欠かせない条件となりそうだ。

省エネ関連の改正スケジュール

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