マンションの大規模修繕工事はどれくらいの周期で必要?

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マンションの大規模修繕工事はどれくらいの周期で必要?

建物の安全性、快適性、資産価値を保つためには、定期的な修繕工事を行うことが不可欠です。特に、マンションに必要とされる大規模修繕工事は、どんな周期、タイミングで行えば良いのでしょうか。ここでは、大規模修繕工事における周期について考えます。

マンション大規模修繕工事の周期の目安

マンションの大規模修繕工事の時期は、一概に築何年後と決められているわけではありません。マンションの劣化の度合いは、個々の建物の構造、立地条件、日常的な管理状態などによって違ってきます。そのためケースごとに、正確に劣化や傷みの状況を理解し、修繕の時期を見極めることが大切です。

しかし、おおよその目安はあります。大規模修繕工事は「12年周期」で考えられることが多いです。これは建築基準法で、築後10年を経過した外壁がタイル貼りなどのマンションは、3年以内に外壁の全面打診調査を行う必要がある、と定められていることと関係があると言われます。

建築基準法に定められた全面打診調査

建築基準法について詳しくチェックしてみましょう。そもそも建築基準法では「建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない」(建築基準法第8条第1項)とされています。

そして、平成20年4月から建築基準法の一部が改正され、定期報告制度の調査、検査基準などが厳しくなりました。これにより、タイル貼り・モルタル仕上などのマンションは、建物の竣工、改修などから10年を経ている場合は、3年以内に外壁の「全面打診調査」を実施しなければならなくなりました。その目的は、タイルなどの外壁落下による事故を防止することにあります。

3年以内に外壁の「全面打診調査」の実施が必要となるのは、先述の通り、建物が竣工してから10年を超えており、外壁改修工事を10年を超えて行っていない場合や、歩行者等に危害が加わる恐れのある部分の「全面打診調査」を10年を超えて行っていない場合が該当します。まだ築年数が浅く「全面打診調査」が必要な建物に該当していない場合でも、目視確認及び手の届く範囲の打診調査や、万が一異常箇所がある場合は、その箇所の「全面打診調査」が必要になりますので、注意してください。一方、一部例外条件があります。3年以内に外壁の改修工事が決まっている場合や、歩行者等の安全を確保するための対策を講じられている場合は「全面打診調査」の必要はありません。
ところで、外壁の全面打診調査を行うには「足場」が必要です。足場を組むにはコストがかかるため、全面打診調査を実施する際に、同じく足場が必要な大規模修繕工事を同時に行うのが得策です。そこで13年以内、つまり12年ごとに大規模修繕工事を行うという考えが一般的になっています。

これら、調査対象となるマンションや詳細については、前述のタイル貼りなどの外壁構造であることに加え、地方自治体によって条件が定められていますので、確認が必要です。

大規模修繕工事は回数を重ねるごとに改修すべきポイントも増える

最初の大規模修繕工事を築後12年経過した頃に行ったとすると、次の大規模修繕工事は築後24年後頃に行うことになります。この2回目からの大規模修繕工事では、建物の劣化度合いが 1回目とは違うため、改修の内容も変わってきます。

1回目は建物の外部を中心に、2回目は建物内部の付属的な部位やパーツの改修も含めて、3回目は建物内部の主要な設備や部材の更新などが加わります。さらに、耐震補強工事や省エネ化工事といった、時代に合わせた工事が求められることもあります。結果、回を追うごとにコストが増大していくことは避けられないでしょう。そのための修繕費用の確保もしっかりと想定していなくてはいけません。

マンションの大規模修繕工事は長期修繕計画に基づいて行われ、25~30年の長期的スパンで考えるべきものです。12年周期をひとつの目安として、工事と費用を確保するためのロードマップを作成しておきましょう。

参考文献:
公益財団法人マンション管理センター「マンションの修繕は築後何年目から?」
国土交通省「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」
岡廣樹 監修・著『これだけは知っておきたいマンション大規模修繕Q&A』鹿島出版会
マンション・ユニオン保全設協同組合『マンション大規模修繕 設計監理方式の導入 ~コンサルタント選定マニュアル』特定非営利活動法人 日本住宅管理組合協議会
マンション大規模修繕研究会『世界で一番やさしいマンション大規模修繕』エクスナレッジ

※掲載内容は2017年2月時点の情報です。

大規模修繕工事をお考えの方はこちらもご覧ください

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