マンションの騒音トラブル

国土交通省の調査「平成25年度マンション総合調査結果」によれば、居住者間のマナーをめぐるトラブルの具体的内容で最も多いのは「違法駐車、違法駐輪」（40.1％）、そして次いで多いのが「生活音」（34.3％）となっています。 この「生活音」によって引き起こされる居住者同士の対立が、騒音トラブルです。生活音とは、テレビの音、上の階や隣室の足音や物音、話し声、洗濯機や掃除機の使用音、ドアの開閉音など、日常生活で発生する音を指します。

管理組合の対処法

では騒音トラブルが起きた場合、管理組合としてはどのように対処すれば良いのでしょうか。実は騒音トラブルは、それぞれの居住者同士、当事者間の話し合いに任せて管理組合は関与しないというのが原則です。これは、騒音トラブルはあくまでも住んでいる者同士の問題だからです。 しかし、話し合いがこじれて両者が険悪な状況に陥ったり、あるいは影響がほかの居住者にも及びそうな場合は、管理組合が間に立って解決に向けてサポートすることも必要になるでしょう。 具体的には、管理組合理事会の役員が中立的な立場で双方の意見を聞き取り調査し、それぞれに伝えて、妥協点を探ることになります。しかし、生活音を騒音に感じるかどうかは主観的にしか判断できないケースもあり、双方の主張が平行線をたどるなど解決は容易ではないことが少なくありません。

騒音の原因になりやすいものとその対処法

騒音問題を解決するには、どのような方法があるのでしょうか。騒音を発生させている居住者に向けて、管理組合が提案やアナウンスを行うことができます。騒音の原因別に、どのようなことを伝達すべきかを紹介します。

家電製品

テレビや洗濯機、掃除機などが騒音の発生源になっている場合は、音の大きさもさることながら、時間帯が問題になることがあります。この種のトラブルが多い場合は、「洗濯機や掃除機は、朝9時～夜20時のみ使用」など、管理規約や使用細則で時間帯を定めて伝えることを検討しましょう。 また、洗濯機は壁から離す、防振マットを敷くなどの措置を行えば音を小さくすることができます。テレビやステレオも早朝や夜は音量を小さくする、深夜はヘッドホンなどを使用するといった対策が考えられます。これらの注意事項を居住者に伝えましょう。

子供

小さい子供や赤ん坊がいるご家庭では、泣き声や走り回る音といった騒音も出やすくなります。子供がいる場合は床にマット類を敷く、壁際に背の高い本棚などを置く、防音や遮音カーテンを使用する、室内では静かに過ごすなどの対策が考えられます。
赤ん坊が泣き出したら窓を閉め、換気扇も消すなどの対策がありますが、夜泣きなど防ぎようのない部分もあります。

ペット

ペットに関しては無駄吠えをする、早朝や深夜に吠えるといったことが原因になりやすいです。 まず、ペットの種類や共用部分での扱いなどを管理規約や使用細則で詳細に決め、これを守ることを周知させる必要があります。また、床にコルクマットなどを活用すること、無駄吠えなどに対するしつけを行うことなどをアナウンスしましょう。

フローリング床

フローリング床はカーペットなどに比べて音が外に漏れやすいため、往々にして騒音の原因になります。遮音性の高いカーペットを敷く、家具にクッションシールを取り付けるといった方法を居住者に伝達しましょう。 マンションにおける騒音問題は一旦こじれるとお互いに感情的になりやすく、裁判になるケースも見られます。管理組合は上記を参考に、騒音についてのルール作りと周知活動を行うようにしましょう。 なお、これらについては管理会社、マンション管理士、弁護士などの専門家にアドバイスやサポートしてもらうことも対策の一つです。

参考文献： 国土交通省「平成 25年度マンション総合調査結果」
大規模修繕工事新聞「生活騒音問題、管理組合に解決してほしいのですが」
特定非営利活動法人横浜マンション管理組合ネットワーク「マンション管理におけるトラブル例と対応」
東京都都市整備局「考えよう生活騒音」

※掲載内容は2017年3月時点の情報です。

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