住宅ローン減税の行方~2022年度税制改正大綱の公表~

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住宅ローン減税の行方~2022年度税制改正大綱の公表~

 2021年12月10日、与党が2022年度税制改正大綱を発表しました。この公表前後に住宅ローン減税等の住宅に関連する税制の行方が報道され、住宅取得を検討する個人にとっても、また住宅を供給する事業者にとっても注目されていました。現行の住宅ローン減税の適用期限は2021年12月31日をもって終了(※1)となるところ、適用期限が4年間延長され、その内容が変更される見込みとなりました。
 以下、この税制改正大綱および国土交通省が公表した2022年度国土交通省税制改正概要をもとに今後予定される制度について説明します。(現時点の公表資料をもとに概要を説明するものであり、実際の制度内容については、今後確定する情報をご確認いただくようお願いいたします。)
 2021年12月24日に2022年度税制改正の大綱が閣議決定され、同日国土交通省より発表された内容をもって記載を更新しております。(更新箇所には下線を付しております。)

(※1)2020年10月1日から2021年9月30日までに請負契約が締結された注文住宅の新築、または2020年12月1日から2021年11月30日までに売買契約が締結された分譲住宅・中古住宅の取得(対象住宅に係る適用消費税率10%が対象)については、2022年中の入居であれば現行の制度が適用されます。

1.新築住宅の取得に係る住宅ローン減税(2022年~2025年入居)

 住宅ローン減税は、住宅ローンの年末残高(所定の借入限度額を上限)に控除率を乗じた額について、所得税(住民税)から税額控除される仕組みです。適用対象者の所得要件(収入ではなく合計所得金額の要件)があり、現行3,000万円以下のところ、2,000万円以下に引き下げられます。

税額控除額=借入残高(借入限度額を上限)×控除率 →控除期間にわたり、毎年税額控除

 ではまず、新築住宅取得の場合の「控除率」を見てみましょう。控除率は、現行1%のところ、2022年~2025年の入居においては一律0.7%となります。
 続いて、「借入限度額」。ここが大きく変わっています。

 借入限度額 2022年入居 2023年入居 2024年入居 2025年入居
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
その他の住宅 3,000万円 -(※2)

 2050年カーボンニュートラルの実現の観点から、認定住宅(認定長期優良住宅および認定低炭素住宅)、ZEH水準省エネ住宅および省エネ基準適合住宅について、借入限度額の上乗せが実施されます。また、新たに「ZEH水準省エネ住宅および省エネ基準適合住宅」(※3)が新設されます。さらに注目すべきは、2024年以降に建築確認を受ける新築住宅(※2)については、省エネ基準への適合が住宅ローン減税の要件とされ、これに適合しない「その他の住宅」については住宅ローン減税が受けられません。
 そして、「控除期間」。これは入居後、何年間にわたって住宅ローン減税の税額控除が受けられるかという期間です。新築住宅については13年間となります。(※2)

(※2)2024年~2025年に入居する「その他の住宅」について: 2023年12月31日までに建築確認を受ける住宅または登記簿上の建築日付が2024年6月30日以前の住宅については、借入限度額2,000万円、控除期間10年間として住宅ローン減税が適用されます。これは中古(既存)住宅の取得・入居に適用されるものと同様です。
(※3)
「省エネ基準適合住宅」とは、現行の省エネ性能を満たす基準、すなわち、日本住宅性能表示基準における、断熱等性能等級(断熱等級)4以上かつ一次エネルギー消費量等級(一次エネ等級)4以上の性能を有する住宅が該当します。また、「ZEH水準省エネ住宅」とは、いわゆるZEH基準、すなわち、日本住宅性能表示基準における、断熱等性能等級(断熱等級)5かつ一次エネルギー消費量等級(一次エネ等級)6の性能を有する住宅が該当します。いずれも住宅ローン減税申請手続(入居年分の所得税の確定申告)において、これらを示す証明書類等の提出が求められる予定です。

 最後に、対象となる住宅の床面積基準。床面積は50㎡以上が適用要件であり、ここにいう床面積は登記される面積を指します。なお、40㎡以上50㎡未満の住宅で、2023年12月31日までに建築確認を受ける住宅であれば適用対象となりますが、この場合は、控除期間のうち、所得税の合計所得金額が1,000万円を超える年は住宅ローン減税による控除が適用できないという制限がつきます。

2.新築住宅の住宅ローン減税を踏まえた今後の方向性

 1.のとおり、2024年以降の入居からは原則として省エネ基準に適合する住宅でなければ住宅ローン減税が受けられなくなります。今後の省エネ基準への適合の流れもさることながら、住宅取得者にとって住宅ローン減税の適用は経済的メリットとして重視されるでしょうから、早期の省エネ基準への適合が必須となるでしょう。
 住宅取得者に対して、取得対象住宅が省エネ基準に適合している旨を説明するだけにとどまらず、その水準を客観的に可視化して説明し、さらに住宅ローン減税の経済的メリットをより高く受けられるようにすることが急務です。そのためにも、「BELS」や「住宅性能評価」の利用により、第三者である住宅性能評価機関の評価を踏まえて住宅取得者に説明することが、その納得度を高め、経済的メリットを訴求するのに有効であろうといえます。特に、住宅ローン減税において「省エネ基準適合住宅」「ZEH水準省エネ住宅」として借入限度額の上乗せを適用するには、証明書類の提出が求められるようであり、住宅性能評価等の利用が重要となるでしょう(具体的な証明書類等は現時点で未定)。

3.中古住宅の取得に係る住宅ローン減税(2022年~2025年入居)

 中古(既存)住宅の取得についても、住宅ローン減税の適用期限が4年間延長されます。控除率は0.7%、借入限度額は2,000万円、控除期間は10年間となります。(適用対象者の所得要件の変更は1.の新築住宅の冒頭に記載のとおりです。)

 ただし、買取再販住宅(宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われた一定の居住用家屋(※4))については、以下のとおりとなります。(長期優良住宅・低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅または省エネ基準適合住宅に該当する買取再販住宅の場合は、上記1.の新築住宅の場合と同様です。)

「その他の住宅」の場合 2022年入居 2023年入居 2024年入居 2025年入居
控除率 0.7%
借入限度額 3,000万円 2,000万円
控除期間 13年間 10年間

(※4)ここにいう「買取再販住宅」は、全ての買取再販物件が該当するわけではなく、「買取再販で扱われる住宅の取得に係る登録免許税の特例措置」の対象となる買取再販物件のみが該当します。具体的には、新築後10年以上経過している、リフォーム工事費が建物価格の20%又は300万円の小さい方以上である、等の要件を満たす必要があります。

 また、住宅ローン減税の適用対象となる中古(既存)住宅の「築年数要件」が変更されます。現行制度では、住宅ローン減税の要件として、建築日から取得日までの築年数が20年(マンションなどの耐火建築物の場合は25年)以下という築年数の要件が定められており、これを超える築年数の住宅については、既存住宅売買瑕疵保険の付保や耐震基準適合証明書の取得等により新耐震基準等への適合が確認された住宅に該当することで、住宅ローン減税の対象となるとの措置がとられています。これが、税制改正大綱では、築年数要件を廃止し、新耐震基準に適合している住宅であることを要件にすることが発表されました。さらに、ここにいう新耐震基準に適合している住宅に関して、登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の住宅については、新耐震基準に適合している住宅とみなされることとなるようです。(※5)

(※5)住宅ローン減税のほか、登録免許税の軽減措置、住宅取得等資金の贈与税非課税措置、特定居住用財産の買換えの特例においても同様に変更されます。(登録免許税の軽減措置についてはは2022年4月1日~)

4.その他~住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置

 住宅ローン減税のほか、直系尊属(父母・祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の適用についても公表されています。
 現行の制度は適用期限が2021年12月31日までとなっていましたが、これが2年間延長され、非課税限度額が500万円(耐震、省エネまたはバリアフリーの住宅は1,000万円)とされます。また、受贈者の年齢要件は18歳以上(現行は20歳以上)に引き下げられます。


 以上、住宅ローン減税を中心に、2022年以降の税制の見込みについて説明させていただきました。省エネ基準適合の動向など、様々な制度との関連において、ぜひ本情報を今後の取組の検討に活かしていただきたいと思います。

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