目指せ、雨漏り事故ゼロへの道‼ー第3回 外壁まわりの雨漏り事故の対策を教えて!ー

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
目指せ、雨漏り事故ゼロへの道‼ー第3回 外壁まわりの雨漏り事故の対策を教えて!ー

 住宅あんしん保証は、雨水の浸入による被害(以下「雨漏り事故」)を未然に防ぐため、届出・登録事業者の方に向けて雨漏り事故の傾向や雨漏り事故を防止するための情報提供に取り組んでいます。『もっと!あんしん雨漏り対策ハンドブック』(以下「ハンドブック」)の発行・提供およびハンドブックの要点解説として作成した「目指せ、雨漏り事故ゼロへの道‼」(以下「要点解説」)はその取組みの1つになります。
 詳細な事故事例や部位ごとの雨漏り事故対策については、「ハンドブック」および「要点解説」をご覧いただくとして、このコーナーでは、「雨漏り事故の基本」、「対策の概要」および「住宅(新築・既存)に関するお役立ち情報」を継続的にご案内していきます。

「ハンドブック」および「要点解説」

1.木造住宅では2000年頃から「外壁通気構法」が一般化されてきています。

 今回は、開口部からの雨漏り事故も含めると全体の約半分を占めている「外壁まわりの雨漏り事故の対策」について確認しましょう。
 まず、木造住宅の「壁の構成」についてですが、一般的には、室内側からクロスや石膏ボードなどの内装材、室内の湿気を壁体内に進入させないための防湿層、断熱材を組み込んだ躯体、その外側に雨水の浸入を防ぐための防水紙、(通気層)、最後にサイディングやモルタル・タイルなどの仕上層があります。以前は、躯体に下地材と防水紙(アスファルトフェルト)を直接張って、その上にモルタルなどで仕上げ施工を行う直張り構法が主流でしたが、2000年頃から躯体の外側に透湿防水シートを張って、その透湿防水シートと仕上層の間に通気層を設ける「通気構法」が一般化されてきています。
 住宅瑕疵保険の「設計施工基準」では、外壁をサイディングなど乾式仕上げとする場合は、原則、「通気構法」でなければならないとされています。仕上げを一次防水層、透湿防水シートを二次防水層と言うこともあって、一次防水層と二次防水層の間に通気層を設けます。通気層の機能は主に3つ([図1]外壁通気構法の①②効果イメージ参照) ①壁体内の湿気を逃がし結露を防ぐこと ②一次防水層を越えて浸入してきた雨水を素早く排出すること ③夏場、壁体内に空気を通すことによる遮熱効果。
 ①は、木造住宅の省エネ性能の向上(=高気密・高断熱化)に伴い、外気と室内の温度差・湿度差が大きくなって、壁の中の結露が問題視されるようになったからです。また、①も②も、壁の中に水分が多いとカビや腐朽菌の増殖を助長して躯体や下地材の劣化を早めます。さらに、水分を含んだ木材はシロアリの大好物になってしまいますので、モルタルなど湿式仕上げの場合でも「外壁通気構法」を推奨いたします。

[図1]外壁通気構法の①②効果イメージ

2.サッシまわりの防水紙端部は防水テープで“しっかり圧着”!

 外壁には、サッシや設備配管などの開口部分をはじめ雨漏りが発生する危険性が高い部分が数多くあります。
 [写真1]の雨漏り事例では、外壁目地シーリング材の施工不良およびサッシまわりの防水紙の端部処理において、防水テープの圧着不足より発生した防水紙のシワ・隙間部分から雨水が室内に浸入し、サッシ額縁および内装等の汚損、雨漏りが発生しました。
 特にサッシまわりの防水紙の施工では、サッシフィンの取付下地部分に3mmを超える段差がある場合は、面合わせ材(フィラー等)で事前に調整しておく必要があります。段差があることで、サッシフィン、防水紙および防水テープの納まりにシワや隙間などの不具合が発生しやすく、雨水が浸入するリスクが非常に高くなります。
 また、開口部の下地枠(縦枠と窓台)の三面交点部分の防水紙(先張り防水シートを施工した場合)には、ピンホールが生じやすいので[図2]のように伸張性防水テープで“しっかり圧着”しましょう。なお、最近では、先張り防水シートの代わりに一体成型タイプの防水補助部材を用いることでピンホールを防げ、一般的な防水紙での納め方に比べ、少ない手間で安定した防水性能が得られる利点があります。

[写真1]サッシまわりからの雨漏り事例

[図2]サッシまわり(縦枠と窓台)の防水施工

3.屋根等と外壁の取合いでは屋根下葺き材の立上げ寸法に注意!

 「下屋根水上部分の外壁との取合い」や「玄関庇等の軒先が外壁にぶつかる部分(壁止まり軒部)」も雨漏り事故が多い取合いになります。
 [写真2]の雨漏り事例では、下屋根と外壁の取合いにおいて、下葺き材の立上げ高さ不足および外壁防水紙と雨押え金物取合いの施工不良(防水テープの圧着不足)により、外壁通気層を通じて屋根内部に雨水が浸入し、下地材の腐朽および1階和室内装に汚損が発生しました。
 「下屋根水上部分の外壁との取合い」は、「設計施工基準」にある通り、下葺き材を外壁面に沿って十分な長さ(250mm 以上、かつ、雨押え板金上端より50mm以上)を確保([図3]参照)して立ち上げます。また、外壁の防水紙端部は、雨押え金物に対して、両面粘着防水テープにより確実に圧着して貼り付けましょう。
 一方、「壁止まり軒部」では、取合いの下地合板および防水紙を施工した後に、防水紙の上から先張り防水シートとして改質アスファルトルーフィング等を張り付け、次に、雨押え金物の先端部分に壁止まり金物を取付け、屋根を流れる雨水を適切に軒樋に落とす納まり([図4]参照)を推奨します。
 ハンドブックでは、外壁に関わる部分(サッシまわり、設備配管貫通部、土台水切りの取合い等)の事故事例から、原因と対策、施工の注意点などを紹介しています。

[写真2]下屋根水上部分の外壁との取合いからの雨漏り事例

[図3]下屋根下葺き材の立上げ寸法の解説

[図4] 「壁止まり軒部」の推奨納まりの解説

4.データダウンロードのご案内 ~ 「ハンドブック」と「要点解説」 ~

 以上、今回の第3回では、「外壁まわりの雨漏り事故の対策」についてご案内しました。雨漏り事故を未然に防ぐには、建築工事に関わる全ての方々が意識を持って、雨水の浸入を防止する部分の施工に関する知識・技術を高めるとともに、適切なタイミングで第三者の検査を利用することが非常に有効です。
 是非、ハンドブックの「事故事例」等を知見として、注意が必要な部分や有効な防水措置等を再確認し、防水に関する施工品質の向上に繋げてください。
 次回(第4回)は、「バルコニーまわりの雨漏り事故の対策を教えて!」をご案内しますので、乞うご期待ください。
 なお、次のフォームより、貴社の情報をご入力いただき送信していただけましたら、「ハンドブック」と「要点解説」データのダウンロードURLをメールにてお送りします。
(ダウンロードいただけるデータは 過去の連載 と同じです。)

資料ダウンロードフォーム

連載コラム 目指せ、雨漏り事故ゼロへの道‼
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回(最終回)

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お問い合わせ

よくある質問

皆様から多く寄せられる質問をまとめています。
お問い合わせの前にぜひご覧ください。

よくある質問を見る

問い合わせ先一覧

お問い合わせ・ご相談は、電話またはWEBフォームで承っております。
下記の問い合わせ先一覧から、該当する宛先にお問い合わせください。

問い合わせ先一覧を見る

お問い合わせ