目指せ、雨漏り事故ゼロへの道‼ー第2回 屋根まわりの雨漏り事故の対策を教えて!ー

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目指せ、雨漏り事故ゼロへの道‼ー第2回 屋根まわりの雨漏り事故の対策を教えて!ー

 住宅あんしん保証は、雨水の浸入による被害(以下「雨漏り事故」)を未然に防ぐため、届出・登録事業者の方に向けて雨漏り事故の傾向や雨漏り事故を防止するための情報提供に取り組んでいます。『もっと!あんしん雨漏り対策ハンドブック』(以下「ハンドブック」)の発行・提供およびハンドブックの要点解説として作成した「目指せ、雨漏り事故ゼロへの道‼」(以下「要点解説」)はその取組みの1つになります。
 詳細な事故事例や部位ごとの雨漏り事故対策については、「ハンドブック」および「要点解説」をご覧いただくとして、このコーナーでは、「雨漏り事故の基本」、「対策の概要」および「住宅(新築・既存)に関するお役立ち情報」を継続的にご案内していきます。

「ハンドブック」および「要点解説」

1.屋根の役割

 今回は、第1回でご案内した「部位別雨漏り事故発生割合」で一番多かった「屋根まわりの雨漏り事故の対策」を確認していきましょう。
 屋根は年間を通して、日射・雨・風・積雪などの過酷な環境下にあり、確実な施工を行わないと雨漏り事故が発生しやすい部分です。
 [図1]は、一般的な木造住宅の屋根の構造になります。屋根の役割は、雨や雪・強風・太陽光・飛来物などから家を守ることにあります。また、雨水の浸入について言えば、瓦やスレート・板金などの屋根材は、一次的な(最初の)防水を担う部材でしかなく、主役は下葺き材になります。万が一屋根材の隙間から雨水が入ることがあっても、[図2]のように下葺き材の張り方の基本を守って、しっかり施工されていれば、簡単に雨漏りが起きることはありません。
 一般的に屋根の下葺き材は、「アスファルトルーフィング940」が用いられてきましたが、近年、各社各様の特長をもった高い性能を有する「改質アスファルトルーフィング下葺材」(※)などが開発、商品化され採用される例が増えてきています。

※改質アスファルトルーフィング下葺き材はアスファルトを改質して、アスファルトの低温性状や高温性状を改良した改良アスファルトを使用したルーフィングです。

[図1]屋根の構造

[図2]下葺き材の張り方

2.「軒ゼロ形式屋根」では、屋根と外壁の防水ラインの連続性が重要!

 近年、[写真1]のような都市型住宅のデザインで多く見られる片流れ屋根などの「軒ゼロ形式屋根」(軒先やケラバの出が少ないもの)では、軒の出がある場合と同様の納まり・工程で屋根と外壁の施工を実施すると、お互いの防水ラインが不連続なまま、常に雨がかりする位置にさらされることになり、その不連続部分から雨水が浸入するリスクが非常に高くなります。この「軒ゼロ形式屋根」で雨水浸入を防止するには、屋根の下葺き材と外壁の防水紙を連続させ、一体の防水ラインを形成することが重要です。安易にシーリングのみに頼って止水するのは危険です。壁体内の通気が取れなくなるとともに、シーリングの施工品質および経年劣化等が雨漏り事故へ大きく影響を与えることになります。
 また、省エネ性能の向上(=住宅の高気密化・高断熱化)に伴い、一度室内に入った水分・湿気は抜けにくいため、内部結露対策として、小屋裏等換気の通気ルートの確保も必要不可欠となります。
 このようなデザイン志向に対応して、防水と通気を両立させるために、換気金物メーカーなどが専用の商品([図3]参考)を開発していますので、利用を検討するとよいでしょう。

[写真1]都市型デザイン住宅(参考例)

[図3]屋根ケラバ部納まりの参考例(通気専用部材の使用)

3.「パラペット付き屋根」は、防水部材の取合いが多く複雑、細心の注意が必要!

 「パラペット付き屋根」も都市型住宅の代表的なデザインのひとつです。「パラペット付き屋根」は、防水部材の取合いが多く複雑で、多くが陸屋根や緩勾配屋根であるため、雨水が停滞しやすく、各取合いの防水施工には細心の注意が必要です。
 [写真2]の雨漏り事例では、片流れ屋根とパラペットの入隅取合い部において、屋根下葺き材とパラペット上部の鞍がけシートの固定に防水テープが施されていない部分(隙間)があり、屋根内に雨水が浸入、下階天井より雨漏りが発生しました。やむを得ずパラペットが低い場合、屋根面からのはね返りや強風時の吹き上がりで雨水が防水層に直接かかっても浸入しないように、鞍掛けシートの下端から屋根下葺き材を差し込み、鞍掛けシートは雨押え水返しまで垂らして、片面粘着防水テープで圧着させるなどの対策をとりましょう。
 また、パラペット防水立ち上り高さが250mm未満の場合、パラペットと屋根の防水部材の取合い部は、雨仕舞の難しい部位になります。特にパラペットコーナー部の入隅に発生する防水部材の三面交点部分はピンホールが発生しやすく雨漏りの原因となりやすい部位なので、[図4]のように伸張性防水テープを用いて確実に圧着して貼り付けましょう。
 ハンドブックでは、屋根に関わる部分(軒先・ケラバ、パラペット、下屋根と外壁の取合い等)の事故事例から、原因と対策、施工の注意点などを紹介しています。

[写真2]パラペットと屋根の取合いからの雨漏り事例

[図4]パラペット鞍掛けシート入隅部(ピンホール)の防水参考例

4.データダウンロードのご案内~ 「ハンドブック」と「要点解説」 ~

 以上、今回の第2回では、「屋根まわりの雨漏り事故の対策」についてご案内しました。雨漏り事故を未然に防ぐには、建築工事に関わる全ての方々が意識を持って、雨水の浸入を防止する部分の施工に関する知識・技術を高めるとともに、適切なタイミングで第三者の検査を利用することが非常に有効です。
 是非、ハンドブックの「事故事例」等を知見として、注意が必要な部分や有効な防水措置等を再確認し、防水に関する施工品質の向上に繋げてください。
 次回(第3回)は、「外壁まわりの雨漏り事故の対策を教えて!」をご案内しますので、乞うご期待ください。
 なお、次のフォームより、貴社の情報をご入力いただき送信していただけましたら、「ハンドブック」と「要点解説」データのダウンロードURLをメールにてお送りします。
(ダウンロードいただけるデータは第1回と同じです。)

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